ある小児科勤務医の伝えたいこと。



サイトを引越ししました。
今後は次のサイトをご覧ください。
ある小児科医が伝えたいこと。

2011年2月16日以降更新されません。

発熱と抗生剤ついて


1:抗生剤はどんな薬?

細菌(いわゆるバイキン)をやっつける効果を持つ薬を抗生剤(抗生物質)と言います。細菌がヒトに悪さをする細菌感染症のときに使用されます。細菌にしか効果はありません。


2:発熱で抗生剤は必要ですか?

発熱の多くはウイルスが原因の風邪ですから、風邪のときに細菌にしか効果がない抗生剤を使用しても症状の改善には全く効果はありません。風邪のときに後から細菌感染症も起こすことがありますが、以前はこれを予防する目的で風邪にも抗生剤がよく出されていました。しかし現在では細菌感染症の予防には効果がないことがわかっています。次に述べる副作用の問題もあるのでむやみやたらと使う薬ではありません。とは言え、中程度以上の細菌感染症が疑われる時や抗生剤治療が重要な感染症と診断された時には抗生剤を使用するメリットの方が大きくなるため抗生剤が処方されます。処方された薬に関わらず、新たな症状が出現したり、もともとの症状がひどくなったり、ぐったり感が強くなった場合には再診が必要です。


3:抗生剤の一般的な副作用は?

どのような薬でもアレルギーによる副作用の可能性があるのですが、抗生剤でも注意すべき副作用です。じんましんやひどい発疹が生じるとき、呼吸に違和感があるときは、薬アレルギーの可能性もあるため受診が必要でしょう。また下痢は起こりやすい症状です。これは腸内細菌のバランスが崩れることで生じます。これを予防するため、整腸剤をいっしょに飲んでもらうことがあります。

さらに大事なことがあります。口や鼻、腸にはもともと善玉菌が多数生息しています。悪玉菌も普段からほんの少し生息していますが、善玉菌が元気なので悪さができません。抗生剤は本来、悪玉菌が増えているときに使用されるものですが、抗生剤は悪玉菌だけでなく、善玉菌にも影響を与えます。悪玉菌が増えていない時(悪玉菌が悪さをしていない時)に使用すると善玉菌と悪玉菌のバランスを崩してしまうだけで、結果として悪玉菌が悪さを始めることがあります。またこのときに増えてくるのは抗生剤の効きが悪い菌ですから、このような菌が悪さをすると治療が難しくなる可能性があります。このような理由で、不適切・過剰な抗生剤の使用による耐性菌の増加は社会的な問題となっています。適切な使用が必要な薬剤のひとつです。

inserted by FC2 system